アジア移民の集まりとはいっても、みな放送でしゃべることを商売にしている人々で、誤った英語を使う人など1人もいない。
私はたいへん緊張したが、「日本から来ました。アンカーの経験がありますが、より信頼感をもたれるキャスターになるために勉強しに来ています」と言った。
放送で「よく映る」というポイントは、まさにそこに絞られていた。
これは、日本のテレビキャスター、特に女性の出演者には新鮮なことだと思った。
たとえば私自身、テレビに出始めのころ何を注意されたか。
「明るい印象を与えること」「でしゃばらないこと」「視聴者の代表という姿勢でいること」女性にはこれらがもっとも重要とされ、さらに「うちの嫁にしたいと思われるようであること」というのもくっついていた。
これは、服を選ぶときにも問題になった。
私は夕方のニュースに出ているとき、毎日「スタイリスト」とよばれる衣装係の世話になっていた。
彼女は番組の性格や私の好みをきいて服を用意してくれたが、私が彼女に出していた注文は、非常にあいまいかつ欲張りなものであった。
「ニュースだからきちんとした印象を与えるものを。でも明るさもあって、季節感も取り入れて、できれば高そうなもの。でもあんまり高そうだと視聴者の反感を買うかもしれないから、親しみも持てて、ヤングミセスなんかが見て、あら、私も着てみたいわ、と思うようなセンスのよいもの」というのが、私がスタイリストにお願いしていた内容であった。
今、私は本当に彼女に申しわけない気持ちになっている。
私は服装についても、もっと毅然としたポリシーを持つべきであった。
私はもっと、「ニュースを伝えるプロフェッショナルとしての自分」というものをはっきりと意識して行動し、そのイメージに自分を演出すべきだったのではないか。
着せ替え人形のようになる必要はなかった。
ダークスーツばかりとは限らないけれど、仕事に打ち込む姿勢はもっと強調きれてもよかったかもしれない。
それがキャスターとしての「格好よき」でもあったはずだと思う。
そのように要望を出せば、スタイリストさんももっと服が選び易かっただろうと思った。
後日、日本に帰って改めてテレビを見たら、確かに女性キャスターの服装はアメリカのとはかなり違っていた。
日本の方が淡い、おとなしい色が多く、デザインも女性的である。
色彩や季節の感覚は、もちろん日米でかなり違うはずなので、同じにするのがよいとは思わない。
しかし、出演者は自分の生き方や仕事への姿勢を、もっと素直にファッションに反映させてよいのではないかと思うようになった。
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